[news] オーストラリア産wagyu(偽和牛)が国産品として販売される時代
2019年2月26日 7時0分
日本農業新聞
食肉メーカーなどがオーストラリアから輸入した子牛を日本で約15カ月肥育し、「国産牛」としてブランド販売する動きが広まってきた。同国産「Wagyu」の血筋を引く。交雑種(F1)より高いが、和牛より低い価格を想定し、生産量が減る国産牛肉の代替として提案する戦略だ。環太平洋連携協定(TPP)発効で生体牛輸入の関税が段階的に下がり16年目に撤廃されるため、こうした取り組みが増える見込みだ。(鈴木薫子)
TPP発効で拡大も
食肉メーカー最大手の日本ハム(大阪市)は今春から出荷する。同国から300キロ程度に育った子牛を同社のグループ会社が輸入。「Wagyu」の純粋種と、肉質が良いアンガス種を交配させた牛で、同国では「Wagyu」の交配割合が50%以上の場合、「Wagyu」に分類される。
船で輸送後、福岡県内の指定農場で15、16カ月間肥育。和牛と同じ飼料を給餌し、さしを入れる。九州の食肉センターでと畜後、日本ハムが販売する。
肉は「国産牛 肉専用種」のブランド名で販売する。国内での飼育期間が海外より長ければ「国産牛」と表示できる。同社は消費者が求めやすい価格帯の国産牛肉として売り込む姿勢だ。
同様の取り組みをする食品卸のマルイチ産商(長野市)は昨年6月から、「信州白樺(しらかば)若牛」のブランドで販売。県内のスーパーなどへ卸す。首都圏での販路拡大を狙い、今月中旬に千葉市で開かれた食品展示会でPRし、注目を集めた。和牛とF1の中間の価格帯を目指しているという。同社は商社を通して、年間250〜300頭を輸入する。
背景には、テーブルミートとして一般的な国産乳用去勢牛の生産量が減っていることがある。酪農家で雌雄判別精液の利用が進み、2017年度は5万8000トンと、6年連続で減少した。
国内の子牛相場の高騰もあり、オーストラリアからの導入は生産費を抑えられ、東京都内の流通業者は「国産F1子牛より1割安い」と指摘する。
同国との経済連携協定(EPA)で現在は、300キロ以下が1頭3万600円、その他は同5万1000円の関税が課せられている。TPP発効で生体牛輸入にかかる関税が16年目に撤廃されるため、仕入れコストが一段と下がる。
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日本農業新聞
食肉メーカーなどがオーストラリアから輸入した子牛を日本で約15カ月肥育し、「国産牛」としてブランド販売する動きが広まってきた。同国産「Wagyu」の血筋を引く。交雑種(F1)より高いが、和牛より低い価格を想定し、生産量が減る国産牛肉の代替として提案する戦略だ。環太平洋連携協定(TPP)発効で生体牛輸入の関税が段階的に下がり16年目に撤廃されるため、こうした取り組みが増える見込みだ。(鈴木薫子)
TPP発効で拡大も
食肉メーカー最大手の日本ハム(大阪市)は今春から出荷する。同国から300キロ程度に育った子牛を同社のグループ会社が輸入。「Wagyu」の純粋種と、肉質が良いアンガス種を交配させた牛で、同国では「Wagyu」の交配割合が50%以上の場合、「Wagyu」に分類される。
船で輸送後、福岡県内の指定農場で15、16カ月間肥育。和牛と同じ飼料を給餌し、さしを入れる。九州の食肉センターでと畜後、日本ハムが販売する。
肉は「国産牛 肉専用種」のブランド名で販売する。国内での飼育期間が海外より長ければ「国産牛」と表示できる。同社は消費者が求めやすい価格帯の国産牛肉として売り込む姿勢だ。
同様の取り組みをする食品卸のマルイチ産商(長野市)は昨年6月から、「信州白樺(しらかば)若牛」のブランドで販売。県内のスーパーなどへ卸す。首都圏での販路拡大を狙い、今月中旬に千葉市で開かれた食品展示会でPRし、注目を集めた。和牛とF1の中間の価格帯を目指しているという。同社は商社を通して、年間250〜300頭を輸入する。
背景には、テーブルミートとして一般的な国産乳用去勢牛の生産量が減っていることがある。酪農家で雌雄判別精液の利用が進み、2017年度は5万8000トンと、6年連続で減少した。
国内の子牛相場の高騰もあり、オーストラリアからの導入は生産費を抑えられ、東京都内の流通業者は「国産F1子牛より1割安い」と指摘する。
同国との経済連携協定(EPA)で現在は、300キロ以下が1頭3万600円、その他は同5万1000円の関税が課せられている。TPP発効で生体牛輸入にかかる関税が16年目に撤廃されるため、仕入れコストが一段と下がる。
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